モントリオールへ
トロントからVIA鉄道に乗ってモントリオールへ向かった。車内の空気には革と煤の匂いが混じっていて、窓の外を松林が流れていく。まるで動く絵画みたいで、ちょっと眠くなってくる。路線図を見ると、西はバンクーバーから東はハリファックスまで、灰色の線が大陸を横切っている。100年前の中国人労働者たちのことを思い出した。ボロボロの綿服を着て、北風に顔を赤くしながら、戦争で荒れた故郷を離れて、この凍てついた土地で線路を敷いたり橋を架けたりしていた彼らだ。汗が雪に落ちて小さな氷粒になり、風が吹けば跡形もなく消えた。今、列車がゴトゴト走っていくけど、あの細い背中を覚えている人はもういないだろう。
マリー・レーヌ・デュ・モンド大聖堂
モントリオールに着いたら、時間が短くて夢みたいだった。列車を降りて、まずマリー・レーヌ・デュ・モンド大聖堂に行った。そこは静かな巨人のように立っていて、石の壁には時間が刻まれている。入口の像は風雨でぼやけていた。中に入ると、ステンドグラスの光が床に落ちて、赤は夕焼けみたい、青は湖みたいだった。オルガンの音が低く響いて、ろうそくの甘い匂いが漂う。写真を撮るのにいい場所だと思った。

オールドモントリオールの石畳の道
外に出ると空が暗くなっていて、オールドモントリオールの石畳の道を歩き始めた。道沿いの家はペンキが剥げて、赤と黄色が混じり合って、どこか懐かしい雰囲気だ。小さな露店には毛帽やメープルシュガーが並んでいて、カフェからはコーヒー豆の濃い香りが流れてくる。馬車の鈴が遠くで鳴って、足音が石畳に小さく響く。適当にシャッターを切れば、レトロな写真が撮れる。腹が減ったら、ここで何か食べるのも悪くない。モントリオール名物のスモークミートサンドイッチを試してみた。肉汁がたっぷりで、ピクルスと一緒に食べるとシンプルだけど満足できる。それか、デザート屋でメープルワッフルを頼んで、熱いコーヒーと一緒に。手が温まるし、悪くない組み合わせだ。
ノートルダム・ド・ボン・スホール礼拝堂
途中でノートルダム・ド・ボン・スホール礼拝堂に寄った。古い通りの中に隠れた小さな場所で、ドア枠は暗い緑に塗られている。風が川の湿った匂いを運んでくる。中は狭くて、聖母像が青いローブを着ていて、ロザリオの珠を持っている。壁には船の模型がいくつか吊るされていて、船乗りたちが安全を祈ったものらしい。ろうそくの光が揺れて、木の床に柔らかい影を落とす。暖かいけど、少し寂しい感じがした。あの労働者たちはこんな場所にも来なかっただろう。彼らの毎日は鉄の道具と土だけで、こんな小さな灯りを見る暇なんてなかったはずだ。お土産を買うなら、オールドモントリオールで十分だ。メープルシロップは外せない。ガラス瓶に入ったやつは見た目もいいし、実用的だ。あと、手作り石鹸やメープルリーフのキーホルダー、ケベック風のウールマフラーもあって、どれも悪くない。
ノートルダム大聖堂
次にノートルダム大聖堂に行った。ドアが開くと、金色の光が溢れてきて、壁の彫刻は細かくて織物みたいだ。ろうそくの光が微かに揺れて、天井は高くて首が痛くなるほど。ステンドグラスから光が漏れて、床に宝石みたいな模様を作る。観光客で賑わっていて、外から馬車の鈴が聞こえてくる。聖人像があちこちに立っていて、十字架を手に持っている。ここは写真映えする場所だ。でも、あの労働者たちのことをまた思い出した。線路を敷いた彼らの手は、この教会の入口にすら届かなかっただろう。雪の中で息をつくのが彼らの暮らしで、こんな輝きを見る時間なんてなかった。ベンチに座って、足音が石に響くのを聞いていると、なんだか物足りない気がした。

次
夜になって、空が急に割れたみたいに大雨が降ってきた。石畳に雨粒が叩きつけて、白い水しぶきが上がる。川の生臭さが強くなって、みんな頭を抱えて走り出した。傘を差しても靴がびしょ濡れになって、ユースホステルに逃げ込んだ。部屋の木の床は踏むとギシギシ鳴って、窓の外では雨がドラムみたいにうるさい。薄暗いライトが壁に影を揺らして、モントリオールの記憶が頭の中で揺れていた。少し冷たい感じがした。翌朝、雨が止まって、空が薄白く染まった。荷物を背負って、ケベック行きの列車に乗った。この一日は、風が木の葉を揺らす音みたいだった。聞こえるけど、つかめない。
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